外壁のひび割れの原因と補修方法|放置した場合の影響
外壁のひび割れは、幅と深さ(表面の塗膜だけか、下地や構造材まで達しているか)で対応が変わります。国土交通省の告示「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」では、鉄筋コンクリート造の住宅で仕上材と構造材にまたがる幅0.3mm以上0.5mm未満のひび割れは、構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が「一定程度存する」、幅0.5mm以上やさび汁を伴うひび割れは「高い」としています。補修は、ひび割れの状態に応じて樹脂注入・Uカットシール材充填・シール工法などから選びます。
出典の確認日:2026年10月28日
ひび割れの幅と深さの目安(国土交通省の告示)
国土交通省の告示「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年建設省告示第1653号)は、壁のひび割れについて、構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性を3段階で示しています。湿式の仕上材(モルタル・塗装仕上げなど)の場合は次のとおりです。
| レベル | 鉄筋コンクリート造の住宅 | 木造住宅 | 瑕疵が存する可能性 |
|---|---|---|---|
| 1 | レベル2・3に該当しないひび割れ | レベル2・3に該当しないひび割れ | 低い |
| 2 | 仕上材と構造材にまたがった幅0.3mm以上0.5mm未満のひび割れ | 乾式の下地材または構造材の表面まで貫通したひび割れ | 一定程度存する |
| 3 | 仕上材と乾式の下地材にまたがったひび割れ、仕上材と構造材にまたがった幅0.5mm以上のひび割れ、さび汁を伴うひび割れ | 仕上材と乾式の下地材または構造材にまたがったひび割れ | 高い |
この告示は、新築時に建設住宅性能評価書が交付された住宅で、新築工事の完了から10年以内に発生した不具合について、指定住宅紛争処理機関が紛争処理を行う際の参考とする基準です。補修が必要かどうかを決める基準ではありませんが、ひび割れの幅と、表面だけか下地・構造材まで達しているかが判断の目安になることがわかります。
補修の工法について、国土交通省の「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」は、コンクリート打放しやモルタル塗りの外壁のひび割れ部の改修工法として、樹脂注入工法・Uカットシール材充填工法・シール工法の3種類を示しています(4.1.4)。Uカットシール材充填工法は、ひび割れに沿って幅10mm程度・深さ10〜15mm程度のU字型の溝を設けてシーリング材などを充填する工法(4.2.6)、シール工法は、ひび割れの表面にシール材を幅10mm・厚さ2mm程度に塗布する工法です(4.2.7)。ひび割れ部から漏水している場合やさび汁が出ている場合は、改修方法を事前に協議するとしています(4.2.2)。
新築住宅の場合、住宅の品質確保の促進等に関する法律(第94条・第95条)により、請負人・売主は引き渡しから10年間、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分(外壁を含む。同法施行令第5条)の瑕疵について担保責任を負います。築10年以内のひび割れは、補修を依頼する前に売主・施工会社にご相談ください。
このような症状がある場合
- 外壁に線状のひびが見える
- 雨の後に屋内が湿る
- 外壁表面が剥がれている
主な原因
- 外壁材・塗膜の経年劣化
- 地盤沈下・建物の不同沈下
- 乾燥収縮によるクラック
- 地震による揺れ
- 施工不良(下地処理不足など)
- 気温変化による膨張収縮の繰り返し
補修・対処方法
- 樹脂注入工法
- Uカットシール材充填工法(ひび割れに沿ってU字型の溝を設け、シーリング材などを充填する)
- シール工法(ひび割れの表面にシール材を塗布する)
よくある質問
Q外壁のひび割れは、何mmから業者に見てもらうべきですか?
国土交通省の告示「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」では、鉄筋コンクリート造の住宅で仕上材と構造材にまたがる幅0.3mm以上0.5mm未満のひび割れは構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が「一定程度存する」、幅0.5mm以上やさび汁を伴うひび割れは「高い」としています。木造住宅のモルタルなどでは、幅ではなく、下地材や構造材まで達しているかで区分しています。表面の塗膜だけか、奥まで達しているかをご自身で判断するのは難しいため、幅の大小にかかわらず、気になるひび割れは業者に点検を依頼してください。
Q外壁のひび割れの補修方法にはどのようなものがありますか?
国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書では、コンクリート打放しやモルタル塗りの外壁のひび割れ部の改修工法として、樹脂注入工法、Uカットシール材充填工法、シール工法の3種類を示しています。どの工法が適するかはひび割れの幅・深さ・動きの有無によって異なるため、見積書に工法と補修する範囲が書かれているかをご確認ください。
Q新築から10年以内に外壁にひび割れが出た場合はどうすればよいですか?
住宅の品質確保の促進等に関する法律により、新築住宅の請負人・売主は、引き渡しから10年間、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分(外壁を含む)の瑕疵について担保責任を負います。ご自身で補修を依頼する前に、売主・施工会社に連絡し、保証書や契約書の内容をご確認ください。
Qひび割れはDIYで補修できますか?
ひび割れが表面の塗膜だけか、下地材や構造材まで達しているかは、ご自身では判断しにくいため、業者に点検を依頼してください。国土交通省の告示「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」では、鉄筋コンクリート造の住宅で仕上材と構造材にまたがる幅0.3mm以上0.5mm未満のひび割れは瑕疵が存する可能性が「一定程度存する」、幅0.5mm以上は「高い」としています。
Qひび割れを放置するとどうなりますか?
ひび割れから雨水が浸入し、内壁や構造躯体の腐食・カビの発生につながります。深刻な場合は、建物の耐震性が低下したり、大規模な修繕が必要になったりします。早期に発見し補修することで、費用を抑えられます。
Qひび割れの補修は保険が適用されますか?
火災保険・地震保険の内容によっては、地震や台風などの自然災害によるひび割れが補償対象になる場合があります。加入中の保険の内容を確認し、保険会社にご相談ください。